(概ね)戦争映画みる星人

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【映画】プラトーン(1986) 80

 

 プラトーン 120分 80点(映画として優れている)

原題『Platoon』(小隊)

 

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ベトナム戦争ってなんだよ

建国以来西へ影響力拡大を続けたアメリカはついに日本を占領・武装解除して悲願の太平洋支配を確立。(朝鮮戦争前にはアチソンラインという誤ったメッセージを発してしまったが)防衛線が自動的に日本(朝鮮半島38度線以南含む)まで前進しため、防共壁日本の抵抗力消滅により間髪いれず攻勢にでた共産主義侵略が自身の脅威となり、対応を余儀なくされた。

悪の国日本を倒せばアジアが平和になると思い込まされていた米国民はその後、朝鮮戦争ベトナム戦争という、共産圏との分断国家で戦う不人気な戦争をした。

両戦争とも非対称な戦闘では避けがたい便衣隊作戦に直面しやはり非戦闘員虐殺を行った。特にベトナム戦争は撮影機材の発達も手伝いある程度報道の自由がある米国ではそれなどが反戦宣伝に最大限活用されたため、その印象が強い戦争となっている。

ソ連支那の共産圏支援を受けた北ベトナムに対して米国は南ベトナムを支援し派兵、大韓民国が次いで多く派兵した。

結果は米国撤退、北に統一。防共の戦争目的を達成出来ず、敗戦と言える。敗因は勝つ気がない事だった。戦線拡大を恐れ、敵補給に十分な打撃を与えず不毛な消耗戦を続けついに経戦を断念した。米軍死者は58000人だそう。

アメリカというのは戦争に勝つかが国内世論に大きく左右される。

インドシナでは日本の独立工作と敗戦に乗じコミンテルン指示の革命が行われ、フランスの"再侵略"に反した独立戦争としてインドシナ戦争となった。共産圏の新体制勢力援助とアメリカによるフランスら旧体制勢力援助により共産主義対資本主義イデオロギー戦争の色彩が強まった。アルジェリア独立運動や前の大戦の疲弊によりフランスの支配は終わったが、アメリカの指導で旧体制は国家体制を変え"自由主義陣営"となり正当国家を主張した経緯から、ベトナム戦争第二次インドシナ戦争とも言われる。アメリカ撤退後は共産圏の内輪揉め戦争が始まり、カンボジア・ベトナム戦争支那侵略戦争である中越戦争などで第三次とも言う。

 

・本作

ベトナム戦争を描いた有名なアメリカ映画

監督の実体験によって非常にディテールのリアルな作品と評されている。

 タイトルの小隊についてザックリ説明する。小隊は30~50人と説明される部隊規模の単位。小隊が合わさって中隊、それが合わさって大隊という具合。

軍隊にはその単位ごとに絶対に1人の指揮官がおり、小隊長は普通、下級将校(尉官)が務め作中のウォルフ中尉がこれ。小隊はさらに分隊に分かれ、分隊長を曹の階級が、一般の兵はその下となる。作中の2人の軍曹は小隊長に遣える分隊長の位置。

字幕では分隊(squad)は班と訳されている。

 

 

・内容

描かれるのは米軍二等兵の主人公 テイラー の初従軍。1967年9月に南ベトナムに到着した米軍飛行場の場面からはじまり、1年間の任務期間に挑みさまざまな体験をし、その結末までの映画となる。

作中の作戦地域は主にカンボジア国境沿いのジャングル。

主な登場人物はテイラーとエリアス軍曹とバーンズ軍曹

テイラーは裕福な家庭の生まれだが、貧乏人ばかり戦うのは不公平と考え家族は反対するも志願。

エリアス軍曹は正義に懐疑的でテイラーに好意的。

バーンズ軍曹は自信家で攻撃的な性格であり、中尉以上に部隊への実質的な影響力がある。エリアスが気に入らない。

両軍曹はともに戦闘慣れし、支持者の兵がそれぞれにいる。以下直接の内容

 

森で活動する敵への待ち伏せ

夜間の銃撃戦になり、この初戦闘でテイラーは軽傷を負う。

補給品のビールをちょろまかした気の良い黒人兵のキングと共に仮設便所掃除をさせられた際、自身の志願理由を話して仲良くなり"顔役"に紹介をされる事となる。連れていかれたのはエリアス軍曹のいるマリファナパーティーだった。良い奴の印象があるキャラクターも、とうてい規律正しいとは言いがたいスタンスでストレスを発散している。

中尉が部下からカード賭博に誘われるがカモにされたくないと笑って断ると、金が大事ですか?ユダヤ人みたいにと笑われる。

 

68年元旦

トーチカと地下通路を見つけ調査

直前に放棄されたようでブービートラップが仕掛けられ。地図の入った箱を持ちあげると爆発。地下穴には野戦病院

川下の村に敵の情報があり部隊を移動しようとするが仲間のマニーが行方不明。前進すると村の近くの川岸に喉を切られさらされた彼の死体が発見される。米兵達は怒り、村民への暴行。

テイラーも村民に怒りをぶつけ発砲で脅かすが冷静さを取り戻す。バーンズは村民殺害を繰り返し、止めに入ったエリアスとの殴り合いに。中尉は事態を制止しなかった。テイラーは少女強姦をしようとする者達を止めに入った。村は焼くことが決定し村民は難民として連行。

エリアスは上官のハリス大尉に犯罪の告発を試みるが、戦場ですぐさま対応できんとなり、バーンズのエリアスに対する反感は決定的に。

テイラーとの会話でエリアスは、この戦争は負ける俺たちの国は横暴すぎたと語る。

 

敵の待ち伏せと戦闘

ジャングルで混戦に。敵が回り込むのをカバーするためエリアスはテイラー達3人を抜き出し移動、そこでさらにエリアスは側面防御のため一人で離れる。

中尉が慌てて要請した砲撃支援が自分たちの部隊の座標を襲いバーンズは中尉にぶちギレ。敵が多いので部隊を引いた上で再度同じ座標を撃たせると決定し、バーンズはエリアス組を呼びに来る。彼は離れたエリアスは自分に任せて早く逃げろと言って、進んだ先でエリアスを銃撃する。

バーンズは奴は死んだと嘘をつき部隊はヘリで離脱するが、見下ろすとジャングルから負傷した彼が敵に追われ出てきた。機銃の援護もむなしく彼は戦死(有名シーン)。以前は勇猛なバーンズへの憧れもあったテイラーだが完全に彼を疑い敵視するようになる。

 

ラストの戦闘 作品で名前は出ないがテト攻勢という北の攻勢作戦↓

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1月30日から 旧正月を狙い奇襲に成功

米軍は攻撃はないと踏んでいた

大攻勢の衝撃は米国の反戦運動を後押しした

皆に嫌な予感が漂うなか、キングは1日早く帰還が許され大喜びでヘリに、テイラーと笑顔で別れる。

激戦が始まる。塹壕に入り空軍の支援のもと戦う事となるが、敵の突撃に陣地は呑み込まれ、ついに自陣を空爆させる。バーンズは乱戦の中テイラーを殺そうとしたが空爆に巻き込まれる。気絶したテイラーが目を覚ますと敵の攻撃は止んでおり辺りは死体の山、弱ったバーンズを見つけ銃を向けると、顔色を変えず「やれ(Do it.)」という彼を射殺した。

増援が到着、傷病兵として戦場から離れようと自身の足を刺す者、遺体から耳を切り取る者など悲惨な光景が広がる。埋葬処理のため掘った穴に死体の山がブルドーザーで流し込まれる。

2度目の負傷となったテイラーは帰還が決まり、ヘリに乗り戦友と笑顔で別れ、飛び立つと涙が溢れた。

 

・雑感

視聴者の心情として後味の悪さがなく、"サッパリ"する作品と思う。反戦的映画として有名な触れ込みも手伝って一部微妙な評価をする方の原因だろう。

理由として、2人の軍曹はやはり善と悪の役をなすし、キングが生き残り、バーンズ組は嫌な予感に恐怖し死んでいく。そしてバーンズへも敵討ちと体感する描写という事。よって『勧善懲悪的なカタルシス』が発生する作品であることが挙げられる。

その上で、主人公が重大な怪我もなく戦争を語りつぐ役目なのだと締め、ヘリのシーンで終わるのは『プレデター』や『ジュラシックパーク』を思い出した。ストーリー上何かしらの完結をしてヘリで飛び立つあの終わった感は、同じくベトナム戦争映画の傑作と言われる翌年の『フルメタル・ジャケット』のラストとかなり異なる。

 

大戦映画だと相手国軍や政府の戦争指導や内政を雑に描く事がままあるけれど、ベトナムモノでは見たことないのが不思議。

キングの名前はアメリカの視聴者は普通キング牧師を想起せざるをえないところだろう。 

キャラクターの性格や力関係の一貫性は自然な限りなるだけ多く描写した方がキャラの成立を助けるが、登場キャラがなかなか多いのにバランスがとれていてすごいと思った。

マニーに刺してある紙は南ベトナムへの安全パスポート。giấy thông hành(パスポート)の文字と南と参戦国の国旗がデザインしてある。

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Giấy thông hành an toàn – Wikipedia tiếng Việt

 ↑(米国によって印刷された安全なパスポートは、ベトナム人民軍南ベトナム解放軍の兵士を「呼び戻す」ように誘惑するために飛行機で投下されました。) いわば投降ビラに近いイメージ

 

村での暴行シーン。脅迫による住民への戦争協力強要や、見せしめの処刑が米兵を激昂させた事が暴行の原因の1つとして描かれている。このバランス感覚は現実を知っている人が直接携わってこそだろう、邦画では一切期待出来ない点だ。

どう感じるかはともかくとして、情報の提示としては意外と米兵の"やらかし"というだけでなく、住民を巻き込んだゲリラ戦術がそういう状況を引き起こしやすい面も見てとれる。

 

トーチカと地下通路探索シーンも好き。探索のために部隊が止まり、外の兵たちのふうと息をつく感じが良い。自然を映しながら煙草を吸う兵の台詞のないカットでメリハリがつく。映画には場面転換のストーリー上の意味のない情景描写カットは良くあるが、演出の効果を高めるために効果的に使えるテクニックのだしどころでもあり、本作はそういう所がとにかく上手い。外のテイラーの足元を這うヘビ、地下病院の死体でぐっと緊張感がたかまる。

 

エリアスは死んだとテイラーに嘘をつく場面も良い。テイラーは心残りからバーンズのきた方を見つめるが生い茂るジャングルしかみえない。本当は確かめたくても自分が敵に殺されたらどうすると。もしエリアスが本当に死んでいれば真相は闇の中だった。ジャングルと戦争にいくらでもそんな殺しが隠れてしまう恐ろしさを一瞬の戸惑いが表現する。

 

 

 ・ハーケンクロイツ

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爆撃開けラストシーンのm113装甲兵員輸送車に掲げられた、ドイツ国防軍旗はなんなのか。ラストに画面奥側からナチスドイツの軍旗を登場させる強烈なメッセージ性があるのに、なぜよく分からないのか謎。テレビでもたまに紹介される映画だが、大抵エリアスの死の場面だけだよね。

ショボい情報収集力では意図がわからなかったので想像。

 

説1.不満や抑圧。それが強烈な差別や偏見に繋がりかねないというメッセージ。

説2.こんな野蛮な事をする俺たちはナチスと何が違うんだーというイメージ

説3.米兵によるハーケンクロイツの落書きのベトナム戦争写真が実際あるので、意図は不明だが実際に(似たことが)あった。

 

1、カードの場面でのセリフ等から想像。(反ユダヤナチスの特権ではなく広く根強い、アメリカでも金にがめつい白人というイメージはある程度共有されてしまっている。)貧困層が食うために入隊し苦しむという歪みは映画テーマの1つに見える。また該当軍旗は大戦中と少し異なる35~38年のもので、ナチスドイツのホロコースト以前のものであるのが意味深だと深読みしたくなる。それに2や3であれば軍旗でなくポピュラーな党旗を用いれば自然で足る。

2、同シーンは遺体の耳切りなどの残酷描写だけでなく、ナチス描写の定番のシェパードを米兵がつれている。実際に犬がいなかったわけではないが(米軍がおこなったゲリラ掃討のサーチ&デストロイに軍用犬が活躍した)、かなり印象的になりかねないので意図せず同じシーンに重ねるとはピンとこない。1のシンボル表現のためとも解釈はできるが。

3、自軍と異なる軍旗そのものを掲げるのは明らかに問題で不自然なので考えにくい。

 

知ってたら教えて下さい。

1は『帰ってきたヒトラー』から感じていたことなのでふと思い付いたもの。あの作品は、難民問題に不満を持つ一般市民達が反差別の名の元に抑圧を感じている所に、解放者としてヒトラーが表れることで排外的で攻撃的に傾いていく様が背景にあり、現実問題に向き合わず抑圧する事の危険性をヒトラーの再来という形で擬人化する事で描いている面があると見える。

本作プラトーンの描写は経済格差が反ユダヤ感情や黒人の被害者意識と結びつき混沌としているアメリカ社会そのものが人間描写の一端に反映していると思うので、ユダヤ問題のみに焦点をあてたと思ってはいないが、それをあのような形でシンボルとして表したのでは。監督オリバーストーンは行き過ぎた資本主義を嫌い、本作と同時期の『ウォール街』でその強欲さを描いている。彼はウォール街で成功したユダヤ系の父を持つ。

 

 

・採点

キャラクターの出来と回し、有意義なカットの多さ、演技、丁寧な背景の情報量、いづれにしても一流と素人目にも明らかに思える。音楽も印象的。戦闘だけでなく気候風土から性格士気などの立体的で緻密な描写が趣味。

なぜカンボジア国境なのか、分からない人が分かるようほんの一言でも欲しかった。政策、時代背景描写がないのは趣味でない。脚本に非はないが終わりかたが趣味でない。

 

よって体感80点とする。

 ( ・ω・)大作なのに戦車出ないのよね~

本作の見所は語り尽くせぬ 途中からなに書いてるかわからんなった