『男たちの大和』の2005年は、福井晴敏原作の軍事ネタ映画が三本も公開された事をご存知だろうか。
『亡国イージス』『ローレライ』『戦国自衛隊1549』である。
まさに邦画ミリタリーの年、しかしそのクオリティは残念なものだった。
93年ジュラシックパークで最高の映像にCGが欠かせなくなったのは誰の目にも明白だったが、2005年は未だミニチュアから抜け出せないガタガタの東宝が、ゴジラ最終章と銘打ったファイナルウォーズをチープなCGを織り交ぜ公開した年でもある。
この三作も、必要な作中描写と技術の不均衡はチープな映像として出力された。
お花畑なぼんやり人道論、戦勝国史観を前提に愛国論を展開するぼんやりテーマ、この国があーだこーだと他人事みたいに言うなど、なんだか雰囲気もダダかぶりだった三作の感想を改めて観て書いてみようと思う。
・時代背景
当然の終戦60にかこつけたマーケティングなだけでなく、北が2002に拉致を認めた勢いに乗ったため北鮮のテロという邦画にあるまじき作品を作れたのは凄い。近年の『空母いぶき』(支那と戦う人気漫画を大幅改変、非現実的架空国家と戦闘し支那含む『国連』が助けてくれて完)の信じがたい惨めさとは対照的だろう。
韓国は以前、”西側”として自民党とまだなかがよかった。製作に名を連ねる産経新聞もしかり。後に協議の一方的無視など普通外交であり得ない態度が繰り返され信用が低下した。
・本作
産経新聞が製作に名を連ねている 実物のイージス艦が一部の撮影に使われた
・内容
北鮮人工作員一味は米軍の秘密細菌兵器グソーを在日米軍基地から窃盗
指揮所を制圧し艦内に総員離艦命令を出すと乗員は疑問を持ちつつも唯々諾々と艦を明け渡してしまう
危険な兵器がどこかに積み込まれたまま船は東京に向かう
限界に近づいてしまえば特殊な焼夷弾で爆撃して焼き尽くすしかない
細菌平気で政府を脅迫し、内通者自衛官の息子が国の情報機関に殺されたなる陰謀の真実を白状させようとしたりするが、北鮮工作員の目的は東京を攻撃することでアメリカに北鮮を報復攻撃をさせ、腐敗した祖国を一度壊し作り替えようというものだった。
・雑感
館長暗殺、テロリストのジャック、戦略兵器を積み暴走、少数でテロリストを撃破する流れがセガールの『沈黙の戦艦』で、面白さは下位互換と言って良い。館長暗殺の変更は自衛隊協力のためのストーリー微修正によるもののようだ。ダイハードは観ても沈黙の戦艦は知らない方は沈黙の戦艦必見だ。
テロの真実の動機が不合理で確実性が低く、テロ自体も計画に無理があり過ぎる。またビデオメッセージで本国の意思と関係ないと表明するが、北鮮攻撃をさせたいのならそれを言う意味が分からない。などとにかく意味不明不可解点が多い。
亡国のイージス - Wikipedia 恒例のwikiです。映画版の評価 が参考になります。
拳銃向けあってしゃべるシーンが長い。
女テロリストの謎キスシーン、彼女は強い男への異常性癖持ちだが原作を見ないとわからんそうだ。意味不明唐突のキスシーン、俳優と韓流女優でマーケティングするだけでストーリーになんら寄与せず、この時点でもう映画として終わっている。
戦闘シーンをスローで引き伸ばすわりに、会話の間が長い、なぜ。
佐藤浩一は政治臭のある作品にやたら出てくるが、公務員とかの顔じゃないと思う。なんだろう、すごく似合わない。
・採点
特に終盤、拳銃でパチパチ撃ち合っては、各キャラが息絶え絶えになって緊張感のない背景を長々映し感動パートのセリフ、顔アップ、みたいなのを連発、その後もバテバテ感だけはリアルで、とんでもないテンポの悪さになってる。
よって11点とする。