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【映画】Uボート:235 潜水艦強奪作戦(2019) 9

 

Uボート:235 潜水艦強奪作戦 102分 9点

原題『Torpedo』(魚雷)

 

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・本作

強奪作戦はない。

本作は、ベルギーの雇われならず者がイギリスの指示で、鹵獲してあるUボートを使って核兵器用ウランをアメリカへ秘密輸送する娯楽映画で、史実はない。

CGやセットのレベルは良い部類。

おそらく強奪というのは、U-571という有名潜水艦映画を想起させるための詐欺タイトル。U571は、ドイツ軍暗号の機密を奪うため、故障したUボートの情報を得た米軍が偽Uボートで近づき制圧しようという秘密作戦をするフィクション娯楽映画。

大戦中鹵獲されたUボートは6隻だそう。U505 (潜水艦) - Wikipedia←機密資料が押収されたU571の元ネタと思われる艦。

 

・内容

ガバガバ娯楽映画

1941年、ベルギー植民地のコンゴで採掘されたウランを、アメリカへ輸送する作戦が計画され、ドイツ占領下のベルギーで過激なゲリラ活動をしているチームにこれが任された。あのわるーいドイツに先に原爆を作られてはならない。

チームは主人公のおっさんと娘、娘とできてる男ほか数人。

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情報は察知されていて艦は追われる。

チームは、子供のため寝返ったドイツ軍人に教導してもらいごく短期間でUボートの操縦を覚え、少人数で操作。ろくに戦闘訓練はせずぶっつけ本番の戦闘。

入れ替わり立ち替わり襲い来る飛行機・潜水艦・駆逐艦

潜航を始めることで飛行機に対し無防備と思わせ、近づいた飛行機を沈みながら撃ち合い撃墜

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当時あり得ない、潜航中に潜水艦vs潜水艦の魚雷戦、うっかり流れた音楽で位置がバレて正確に魚雷が(笑) というか、このシーンのあたり艦内の魚雷の落下で足がつぶれたり。距離が近いと安全装置で爆発しない魚雷で助かるとか。どこかで見たシーンばかり。下手に大戦後潜水艦の映画をパクるからおかしくなる。

駆逐艦に見つかり仲間のふりでやり過ごそうとするがドンパチ開始。駆逐艦に衝突され浸水、深海へと沈んでいく。謎の鉄パイプ落下で開かなくなった水密扉の向こうに娘が取り残され、浸水していく。扉の窓にカップルが張り付いて愛を誓う(笑)

あきらめムードの中、親父覚醒!魚雷発射菅に突入!

人間魚雷発射!(タイトル回収)

深海を泳いで!破壊されて破れた外側から娘を救出!穴のある反対側の水密扉を閉め、筋肉でパイプをどけて帰還。心肺蘇生で危機一髪。

そしてドイツ軍艦長の自己犠牲で、浸水区画のバルブを開くと艦は浮上し始める。

めでたし暗転

四年後…

1945年8月6日(広島原爆投下日)、昼のマイアミ、陽気な音楽が流れるビーチ、ラジオからトルーマンの原爆演説が流れだして終了

 

・雑感

なんじゃこりゃ

作中でもトンデモ作戦扱いだが、いやトンデモ過ぎる。Uボート使う意味もない、極めて素行不良でイギリス軍でも悪名高い設定の、潜水艦ド素人のゲリラを短期教育で使う意味もない。乗員の人数が少なすぎる。深海で泳いでいきなり艦内に戻ってきたら潜水症どころではないとおもう。

U235は、ウラン235という核兵器に用いられるウランの同位体と、Uボートの艦名をかけた小ネタ。敵駆逐艦に対し誤魔化した艦名なので設定上は別の艦だろうけど。ちなみに実際のU235は英語wikiによれば味方輸送艦の誤認による爆雷で沈没している。

 

背景。

植民地時代のコンゴはベルギー国王の私物として残虐な統治が行われ国際的非難を受け、当初植民地獲得に意欲のなかったベルギー政府側が買い取ったという流れらしい。関係wikiには手を切られた原住民たちの写真があり苦手な方は注意

その後国益から結び付きを強めていき、独立運動に冷戦が相乗する混乱が起きた。

『1940年代から1950年代にかけて、コンゴはかつてないレベルの急速な都市化を経験し、「理想的な植民地」作りを目指して国際的展開プログラムも実施されるようになった。1950年代にはコンゴは他のアフリカ植民地と比較して倍以上の規模の賃金労働力を保持していた。コンゴのウラン(第二次世界大戦中にアメリカ合衆国が開発した核兵器に使用されたウランの多くがコンゴ産だった)を含めた豊富な天然資源は冷戦時代に入り、二大超大国となったアメリカ合衆国ソビエト連邦の両国がこの地域に大きな関心を寄せる要因にもなった。』コンゴ動乱 - Wikipediaより

(ちなみに 携帯電話用レアメタルがコンゴ武装勢力の資金源に、国際NGO 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News コンゴでは資源採掘が武装勢力による犯罪の原因になっている。) ダイヤモンドの産出国としても有名。

『東部地域は、歴史的な部族対立、天然資源を巡る武装勢力の対立、周辺国の介入等により、1990年代初めより不安定な情勢が継続してきた。東部を中心に国連PKOが展開しているが、武装勢力による文民の攻撃・殺害が頻発しており、治安の改善が引き続き課題となっている。』コンゴ民主共和国基礎データ|外務省より(文民=民間人)

知っている映画だとエンドレス・ウォーというのがこの背景を取り扱っている。

 

核というテーマについて。

ラストのノリノリビーチで原爆放送という軽薄さに対し、日本人として許せない等の意見をいくらか見た。私は擁護的視点で視聴に臨んだが、ダメだった。

ラストシーン。トルーマン原爆演説の実音声を使用しているようだが、開始すぐの『ヒロシマ』とはっきり言う部分を完全に『トリミング』(文字通り)して、つなげていた。

もし本作をみる機会があればぜひ聴いてみて下さい。

m.youtube.com

ナチをやっつける映画を楽しくみていたベルギー人が、ヒロシマってナニ?とならないための配慮なのか?意図が不明すぎる。

陽気なビーチに新たな恐怖の到来を合わせて皮肉った意図的ナンセンス演出の可能性も想定したが、どうしてもトリミングに善意は感じられない。これのみではなく他の描写にしても、とにかく思慮が浅いから作り手の問題と判断する。

 

脚本について。

冒頭、ゲリラ活動で暗殺したドイツ人の死体から略奪した腕時計が、後に潜水艦内に引っかかって溺死するとか、他にもいくつか前フリとその回収をしてみてはいるが、単調でそのためだけの前フリでしかなくわざとらしい。

主人公のドイツ軍人嫌悪や、仲間の黒人差別もやたら描くがはっきり決着しない。なんとなく共に戦っていい感じになるみたいな。仲間はろくに咎めないし。

子供を露骨に極悪なナチに殺された恨みで、ゲリラ活動で捉えたやつを水攻めにして手榴弾で頭吹き飛ばしてヘラヘラしてたり、主人公一味も大概残虐過ぎるが、そのへん脚本上なんかしらの回収はない。相手が先に極悪って描写で相殺回収できたつもりなのか?

演出も一緒にヘラヘラしているし、何を主張したいのかさっぱりわからん。

 

・採点

面白くない。体感9点とする。

まあ賛否両論っぽいので面白がったらごめんね。